疾患遺伝子解析のための局所生検を用いた科学発見ロボットシステム
/Science Exploring Biopsy Robot System for Desease Analysis



近年の臓器疾患の解析技術として,細胞組織モデル(オルガノイド)を使用した疾患解析が可能になってきました.
これにより,人の臓器オルガノイドに疾患因子を投入して,疾患の進行の機序を追跡することが可能になってきています.
一方で,従来の多くの研究は,局所的な疾患進行の変化を蛍光標識による画像から追跡できますが
ある特定の時間,ある特定の領域を切り取って,遺伝子解析を行うという評価は非常に困難でした.
当研究グループでは,微細作業ロボットに搭載した,局所細胞組織の分取デバイス,およびそのシステムを研究しています.
これは,圧電素子を用いた高周波打撃機構を用いて,細胞組織内部にむけてスムーズに穿刺/穿孔を行うことができるものです.
圧電打撃駆動機構には,独自の高精度駆動・高速位置決め制御機能が構築されており,正確なアクセスと組織回収能力を実現できています.
さらに,超解像度蛍光顕微鏡技術や,近年の画像認識AI技術をうまく組み合わせることで
システムとしてのシナジーを発揮し,これまで不可能であった標的細胞組織の自動/自律分取にチャレンジしています.
局所細胞組織分取に必要な,"ソリッドな人工物vs柔軟で粘弾性が支配的な細胞組織の力学相互作用"を取り扱うテーマであって,
局在化した領域に破断を伴う高いエネルギを集中させながら,目的外領域への影響を抑制するという相反する要求に答えていくのが本テーマの面白さです.
そのために,ハードウェア側では微細加工プロセスを伴うツールの形状,加工方法,表面処理方法などの性能を検証するほか,
制御方式として,高速信号処理を含む打撃励振機構のアナログ/デジタル併用のフィードバック技術を構築してきています.
基盤技術として,マイクロナノ領域の力学相互作用,圧電素子を搭載する機構設計と制御,システム統合など
広い範囲を取扱うテーマです.そのため,いろいろ苦労がありましたが,最近うまく回り始めています.
また,性能の向上がダイレクトに新たな疾患評価の応用領域を開拓できるフロンティア技術です.
一緒にこのテーマに取り組んでみたい,という学生の皆様を募集中です.
主たる参考文献 / Remarkable References
- H. Kunii, H. Sugiura, S. Amaya, F. Arai, THE MICROSCOPIC BIOPSY DEVICE FOR THE HIGHLY VISCOELASTIC TISSUE BY USING TRANSLATIONAL/ROTATIONAL PIEZO IMPACT DRIVE MECHANISM, The 23rd International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems 2025
- H. Kunii, H. Sugiura, S. Amaya, F. Arai, RSmooth pipette-tool insertion for the single cell pickup using piezoelectric impact driving mechanism, Proceedings of International Symposium on Micro/nano mechatronics and Human Science (MHS)2024, 2024