Research
研究室の概要
本研究室では,次世代の知能機械システムに必要とされる機能要素及びシステム制御・統合に関する教育・研究を行っています.主に,MEMS(微小機械システム)とナノテクノロジーを基盤としたロボティクス・メカトロニクスに関する研究を推進しています.従来の性能を超越したまったく新しい知能機械システムを実現するには,マイクロ・ナノ領域の物理化学現象を理解し,バイオミメティックな視点を 取り入れた高度集積化・知能システムを実現する必要があります.また,AI(例えば,機械学習など)による知能化も重要です.本研究室では,先進的な微細加工技術を基盤として,実世界で機能する革新的な知能機械システムの実現を目指した理論と実践の研究を進めています.特に,ミリ・マイクロ・ナノスケールを横断的に俯瞰したデザイン思考により,革新的な知能機械システムを創出し,社会に貢献することを目指しています.応用例として,新原理センサ・アクチュエータ,微細加工,分子操作を行う三次元ナノマニピュレーション,生体組織や細胞操作を行う自律型マイクロロボット,医療・バイオシステムなどの研究を通じて,マイクロ・ナノ科学を学び,小型集積化技術や知能システムのフロンティア技術を習得することができます.
新井研究室では,東京大学 大学院 工学系研究科 博士課程後期課程(ドクターコース)学生を
積極的に募集しています.
バイオロボティクスの研究対象とアプローチ
従来の性能を超越したまったく新しい知能機械システムは,どうやったら実現できるか?
この答えを求めて,本研究室では,
(1) 生物が獲得した叡智に学ぶアプローチ
(2) マイクロ・ナノ領域の物理化学現象の理解に基づくシステム統合のアプローチ
の2つのアプローチによって,バイオロボティクスの研究を進めています.
本研究室におけるバイオロボティクス研究では,
(1) 生体に着目したバイオニックなデザインを重視しています.
このため,生体の仕組みを知るために必要な,ナノ・マイクロ操作,生体計測や, 生体の機能を模倣したり,生物の能力を活かすためのバイオニックなシステム統合,知能化も研究対象としています.
(2) マルチスケールに渡り,横断的に俯瞰したデザインを重視しています.
このため,マイクロ・ナノ領域の物理化学現象のアナリシスや,現象理解に基づき設計した機能要素,これを具現化するための先進的な微細加工技術や,複雑な制約条件の元での知能化およびシステム統合も研究対象としています.
以上のアプローチによって,これまでにない革新的な知能機械システムの実現を目指し,バイオロボティクスに関する研究を行っています.応用先は,サイエンス探求,医療・福祉,再生医療,先端計測など様々です.
バイオロボティクスのすすめ
我が国が進めるSociety 5.0や,ドイツが進める製造業の革新,インダストリー4.0では,産業革命に必要とされる新たな価値創出のコアとなる強みを有する技術が注目されています.中でも,ロボットは人間にできない作業を代行する技術として着実に発展していますが,小型集積化技術との融合はいまだ十分に進んでいません.
一方,近年,三次元MEMS加工技術や3Dプリンタ技術が進歩したことから,複雑な3次元部品を手軽に加工できるようになり,生物に学ぶロボットが数多く開発されています.生体のもつ優れた機能や形状を模倣し,ロボットに応用するアプローチはまだ始まったばかりで,システム統合の観点からは体系的なデザイン学の確立が必要とされている未開拓領域です.
実世界で機能する革新的な知能機械システムの実現を目指するためのデザイン思考として,本研究室では,以下の項目をあげています.
- 生物に学ぶ
- 生物を模倣する
- 生物を活かす
- 生体を知る
このような生物を手本とし,生物が獲得した叡智を参考にするロボット研究をバイオロボティクスとして,本研究室で研究しています.研究の応用範囲は,サービスロボット,医療・福祉ロボット,再生医療,先進的計測システムなど様々です.
例えば,マイクロ・ナノ世界で自在に動き,微細な作業を遂行できるマシンは世界中探してもまだ実現されていません.しかし,生物界に着目するとヒントを得ることができます.我々は,マイクロ・ナノ世界のマシンをデザインするためには,昆虫や微生物などに学び,バイオニックな特性を手本としてシステム設計するアプローチが望ましいと考えています.目的に応じて,生体に似せたり,生体の部品ともいえる細胞の機能を活用するアプローチも考えられます.特に,生物の多くは構造や仕組みが知的にデザインされており,移動機構,センシング機構,制御システムは大いに手本となりえます.本研究室では,生体の機能を模倣するだけでなく,モルフォロジーの観点から生体に似せたり,細胞機能を活用することで,目的に応じてバイオニックな特性を人工システムに実装する設計法を「バイオニック・システムデザイン」と呼んでいます. 本研究室では,研究開発においてこのようなデザイン思考を実践したいと考えています.
研究の動画紹介
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[ScienceNews2016] 微小物体を自在に操る ナノマイクロ操作技術(Video)
- マイクロナノスケールでのロボティクス・オートメーション(YouTube)
ICRA 2021 Plenary Talk -- Fumihito Arai : Robotics and Automation in Micro & Nano-Scales (Video)
- バイオニックヒューマノイドの話
Lifelike Surgical Training Model - Medical Frontiers (NHK WORLD - JAPAN) (Video)
→ バイオニックヒューマノイド,バイオニックアイ,バイオニックブレインは,新井研が中心となって開発しました.
例えば,バイオニックアイに関しては,11:30-15:00(3分30秒)に説明があります.
研究室の代表的研究成果
本研究室では,実世界で機能する革新的な知能機械システムの実現を目指しています.従来の性能を超越した機能を実現するには,デザイン,構造,制御,計測,知能が基盤技術となります.つまり,1.造る,2.動かす,3.測るが三本柱となります.